値上がりする品目が増えたのはいつから?——1985年から続く364品目で、前年より値段が上がった品目の割合を数えると、変わり目は1998年と2014年に出ます。割合の平均は1998年までが64%、1998〜2014年が40%、2014年以降が69%です。
物価全体が下がっていた月には、値上がりした品目はなかった?——ありました。消費者物価の総合指数が前年より下がっていた161か月でも、平均39%の品目は前年より値段が上がっていました。
何から値上がりし始めた?——2020年以降で見ると、住居と外食が早い側、交通・通信、食料、保健医療が遅い側でした。
「なんでも高くなった」を、数で確かめる
物価の話でよく使われるのは「物価上昇率」です。これは、家計がお金を使う割合に合わせて品目ごとに重みを付けた平均の動きです。電気代やガソリンのように支出の大きいものが大きく動くと、平均も大きく動きます。
けれど、買い物で感じる「なんでも高くなった」は、平均というより数の感覚に近いはずです。きのうはパンが、きょうは洗剤が、あすは散髪代が——値上がりに出会う回数です。
そこでこの記事では、総務省統計局の消費者物価指数から、1985年から今まで続いている364品目を取り出し、毎月「前年の同じ月より値段が上がった品目は何割か」を数えました。米も家賃もマスクも、1品目は1品目として同じ重さで数えます。期間は1986年1月から2026年6月までの486か月です。
変わり目は2回。1998年と2014年
数えた結果が次の図です。線が値上がりした品目の割合、太い横線は区間ごとの平均です。
変わり目は、年をこちらで決めずに計算で探しました。割合の平均が段差のように切り替わる位置を、区切りの数を変える強さを3通りに変えて探し、3通りすべてで見つかった位置だけを変わり目と呼んでいます。見つかったのは1998年6月と2014年2月の2か所でした。
| 区間 | 割合の平均 | 物価上昇率(総合)の平均 |
|---|---|---|
| 1986年1月〜1998年5月 | 64% | +1.3% |
| 1998年6月〜2014年1月 | 40% | −0.2% |
| 2014年2月〜2026年6月 | 69% | +1.4% |
2014年の段差は消費税の引き上げ(4月)と重なって見えますが、割合が上がり始めたのはその前です。2013年3月に33%だった割合は、引き上げ前の2014年3月には59%になっていました。
消費税の分は1年たつと前年との比較から抜けるので、2015年4月には割合が67%まで下がります。それでも2016年から2019年9月までは48〜70%(平均57%)で、1998〜2013年の水準(平均40%)には戻っていません。
物価上昇率で見ると、変わり目は2022年
同じ探し方を、物価上昇率(総合指数の前年同月比)に当てると、変わり目は2022年4月の1か所だけでした。数で見た変わり目(2014年)とは8年ずれています。
二つの見方の違いは、上がり幅にあります。2%を超えて値上がりした品目の割合は、2017〜2019年には年平均19〜24%でしたが、2023年には66%でした。
- 2014年からは、少しずつ値上がりする品目が多い状態が続いていた
- 2022年からは、上がり幅も大きくなった
「いつから上がり始めたか」の答えは、何を数えるかで変わります。値上がりに出会う回数なら2014年ごろから、値上がりの大きさなら2022年からです。
物価全体が下がっていた月にも、値上がりしていた品目
1986年から2021年までの間に、総合指数が前年より下がっていた月が161か月あります。その161か月でも、364品目のうち平均39%は前年より値段が上がっていました。最も少なかった2002年3月でも23%、4〜5品目に1つは上がっていた計算です。
平均が下がっているときも、すべての値段が下がっていたわけではありません。下がるものと上がるものが混ざり、下がるほうが少し多かった、というのが数で見た姿です。
何から上がり始めたか
2020年以降について、品目ごとに「前年より高い状態が12か月続き始めた月」を出し、費目ごとに真ん中の月を並べました。2020年1月の時点ですでに上がり続けていた品目は、上がり始めの月が分からないので「2020年より前から」としています。
2020年の前年比には2019年10月の消費税の引き上げが含まれるため、その影響が抜ける2020年10月から数え直した場合も並べました。
| 費目 | 品目数 | 2020年1月から数えた場合 | 2020年10月から数えた場合 |
|---|---|---|---|
| 住居 | 21 | 2020年より前から(半数以上) | 2021年5月 |
| 外食 | 25 | 2020年より前から(半数以上) | 2021年3月 |
| 光熱・水道 | 6 | 2021年4月 | 2021年4月 |
| 教養娯楽 | 74 | 2021年1月 | 2021年11月 |
| 家具・家事用品 | 48 | 2021年2月 | 2022年2月 |
| 被服及び履物 | 64 | 2021年4月 | 2022年1月 |
| 教育 | 14 | 2021年4月 | 2021年4月 |
| 諸雑費 | 48 | 2021年4月 | 2021年4月 |
| 交通・通信 | 42 | 2021年11月 | 2022年8月 |
| 食料(外食を除く) | 211 | 2021年12月 | 2022年2月 |
| 保健医療 | 29 | 2022年4月 | 2022年7月 |
数え方で数か月前後しますが、どちらの数え方でも住居と外食が早い側、交通・通信、食料、保健医療が遅い側でした。品目数で見ると、2020年より前から上がり続けていたものが152品目、上がり始めた年は2021年が134品目、2022年が146品目で、この2年に集中しています。
この表は2020年以降の品目すべて(582品目)で数えています。364品目の固定のかごより広く、2000年代以降に加わった品目も含みます。
まだ上がり始めていない品目
582品目のうち46品目は、2026年6月までに「前年より高い状態が12か月続く」ことがありませんでした。内訳は次のとおりです。
- 生鮮の野菜・果物(14品目)——キャベツ、レタス、桃、ぶどうなど
- 化粧品・日用品・家電・ソフト類(17品目)
- 料金・手数料・学校関係の費用(13品目)
- 加工食品(2品目)
消費税の前後
消費税が導入・引き上げられた4回について、施行月の前12か月と後12か月の割合を比べました。
| 施行月 | 前12か月 | 後12か月 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1989年4月(3%) | 57% | 87% | +30ポイント |
| 1997年4月(5%) | 54% | 82% | +29ポイント |
| 2014年4月(8%) | 49% | 90% | +41ポイント |
| 2019年10月(10%) | 53% | 73% | +20ポイント |
どの回も割合は大きく跳ね、1年後に前年との比較から消費税の分が抜けると下がります。2019年の跳ね方が小さいのは、食料品の税率が据え置かれた(軽減税率)ためと見られます。364品目を食料(外食・酒類を除く140品目)とそれ以外(224品目)に分けると、2014年はどちらも約40ポイント跳ねたのに対し、2019年は食料が54%→59%、それ以外が53%→82%でした。
1989〜1991年と比べると
割合の年平均が最も高かった時期を並べると、1989〜1991年が各79%、2023年が84%、2024年と2025年が各79%でした。値上がりに出会う回数で言えば、いまは1989〜1991年と同じくらいか、それ以上です。
上がり幅を表す「2%を超えて値上がりした品目の割合」でも、1989〜1991年は年平均55〜62%、2023年は66%でした。
この数え方で分からないこと
- 値上がりの大きさは測っていません。1円上がっても2倍になっても、同じ「1品目の値上がり」です。大きさは物価上昇率のほうで見てください。
- 品目の重みを付けていません。家賃と消しゴムは同じ1品目です。家計への響き方とは別のものです。
- 理由は調べていません。なぜその年に変わったのかは、この数え方からは言えません。
- 品目の中の値段のばらつき、地域の差、品質の変化の扱いは、消費者物価指数の作り方に従っています。数字は全国、2026年6月までです。
出典
総務省統計局「消費者物価指数」(2020年基準・品目別の全国の指数)を、政府統計の総合窓口(e-Stat)から取得し、当サイトで加工して作成しました。図表の割合・変わり目・上がり始めの月は当サイトの計算で、総務省統計局が作成・公表した数値ではありません。
このサービスは、政府統計総合窓口(e-Stat)のAPI機能を使用していますが、サービスの内容は国によって保証されたものではありません。