01
4回とも駆け込まれた「皆勤賞」
4回の増税すべてで直前に買われたのは218品目。顔ぶれには法則があります。
| 皆勤の駆け込み品目 | 最大の駆け込み(平年比) |
|---|---|
| エアコン | 1997年3月に3.4倍 |
| 冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ | 2014年3月に2〜3倍 |
| たんす・テーブル・ソファー・ベッド | 2019年9月にたんす7.5倍 |
| 楽器・腕時計・ゴルフ用具 | 1989年(バブル期)に2.5〜3倍 |
| 鉄道の通学定期 | 2014年3月に4.1倍 |
「高くて」「長持ちして」「今買っても困らない」もの——それに加えて通学定期のような前払いできるサービスが、毎回律儀に前倒しされています。
02
2014年の異常値 — 前倒せないはずのものまで
駆け込みが史上最大だった2014年4月(5%→8%)の直前には、驚くべき品目が並びます。葬儀関係費1.8倍、出産入院料2.0倍、私立小学校の納付金4.5倍。互助会の前払い、学費の前納——人生の一大事すら、増税の前には少しだけ日程を動かせるようです。
03
2019年の駆け込みは「季節はずれの冬物」
2019年10月(8%→10%)では食品が軽減税率で据え置かれたため、駆け込みの主役が変わりました。真夏の8月にストーブが平年の39倍、7月に男子用コートが6倍。倍率は「もともと誰も買わない季節」ゆえに誇張されている点は割り引きが要りますが、駆け込みの矛先が増税対象の耐久財・冬物へ集中した形は明瞭です。
04
実は駆け込みは主役ではなかった
形をあらかじめ決めずに、増税前後±12か月の全品目の軌跡を機械に分類させると、最大勢力は「直前の山」ではなく「段差」でした——増税の日を境に、支出の水準が一段上がってそのまま戻らない品目群(税込み価格の恒久上昇)。駆け込みは目立つ脇役で、本当の主役は静かな段差だった、というのが全数計算の答えです。
05
検算 — 物価は税率どおりに上がったか
増税直後3か月の物価上昇は +3.1%(1989)/+2.0%(1997)/+4.2%(2014)/+1.7%(2019・軽減税率で半減)。税率の上げ幅とほぼ一致し、この測定装置がまともに動いていることの検算になっています。