「12」の発明者はバビロニア人
星占いの原型は、紀元前5世紀ごろのバビロニア(現在のイラク)で完成しました。彼らは太陽が1年かけて星空を一周する道——黄道(こうどう)——に注目し、これを30度ずつ12個の区画に切り分けました。この区画が「おひつじ座のサイン」「おうし座のサイン」……の正体です。
なぜ12等分だったのか。ひとつは月です。1年のあいだに月はおよそ12回満ち欠けします(=12か月の起源)。もうひとつは60進法。バビロニアは60を基準に数える文化で(1時間=60分、円=360度は彼らの遺産です)、360度の円を12で割ると、きりのよい30度になります。空の暦と数学の相性が、「12」を選ばせました。
実際の空には「13番目」がいる
ところが、実際の星の並び(天文学の星座)で数えると、黄道上には13個の星座があります。蠍座と射手座のあいだに横たわるへびつかい座です。「あなたの本当の星座はへびつかい座かも」という13星座占いの話題は、ここから来ています。
ただし占星術が使ってきたのは、星の並びそのものではなく30度ずつの区画(サイン)。区画は定義上ちょうど12個で、へびつかい座の入り込む余地はありません。「星座(星の絵)」と「サイン(角度の区画)」の区別を知っていれば、13星座論争は怖くありません。さらに、区画の起点が2000年かけて約24度ずれてきた話はあなたの星座は本当はひとつずれている?で診断つきで読めます。
12の内部設計 — 4元素×3区分
12という数は、占星術の中で美しく因数分解されています。火・地・風・水の4元素と、活動・不動・柔軟の3区分。4×3=12で、すべての星座が「元素×区分」の固有の組み合わせを1つずつ持ちます。牡羊座は火×活動、牡牛座は地×不動——重複はひとつもありません。
この設計のおかげで、12星座は「12種類のバラバラな性格」ではなく、2つの軸で整理された座標になっています。相性占いが角度と元素で組み立てられるのも、この構造があるからです(仕組みは相性占いの仕組みへ)。
バビロニアから日本まで
バビロニアの12サインはギリシャへ渡って現在の西洋占星術になり、東へはインドに伝わってジョーティシュ(インド占星術)になりました。インド系の暦は仏教とともに中国経由で日本にも届き、平安時代には宿曜道(すくようどう)として貴族の間で大流行しています。空海が持ち帰った経典にその原典が含まれていた——星占いは、シルクロードを旅した知識でもあるのです。
当サイトでの「12」の使い方
天測運勢台は、この12サインを6つの流派(古典・モダン・オリエンタル・ヴェーダ・ラーニング・総合)で毎日読み比べています。同じ12でも、流派が変われば今日の1位も変わる——「12の読み方の多様さ」ごと楽しんでください。